房姫様物語⑥

「よね」は翌朝から人が変わったように
熱心に働く子になりました。
弟を背負ったままで
境内の掃除をするのは、
決して楽な仕事ではありません。
それでも「よね」は落葉清掃など
とても熱心にやるようになり、
和尚さまを関心させる子になりました。

その後は和尚さまの
毎日のお勤めの準備も
手伝うようになりました。
お経も毎日聞いているうちに、
いつの間にか覚えてしまいました。

その後、数年がたちました。
弟を背負わなくてもよいようになると、
檀家の法要や葬儀にも
和尚さまについていって
お手伝いをするようになりました。

房姫桜 引用:福地いろどりむら通信 20号掲載
構成・挿絵:北野玲/参考文献「宝蔵寺の昔話・房姫様物語」(山田貞一)

宝蔵寺は臨済宗・妙心寺派の寺です。
寺の前進である宝蔵寺が、この地に永くありました。 その昔、この地に来た巡礼の女人「よね」が、宝蔵庵で出家して尼僧となり、房姫様と呼ばれて親しまれました。
四十年ほど仏道に勤め、享和二年(一八〇二)に六二歳で浄土に旅立ったのです。

房姫桜はその尼僧を偲んで名付けられたヤマザクラで、樹齢二百数年です。八百津の天然記念物として文化財に指定されています。 周辺の樹木や進入林道の整備など、「房姫桜保存会」(金井正尋代表)では環境保全活動をおこなっています。
4月中旬が見頃で、ライトアップもします。 山里ならではの幻想的な夜桜を是非一度ご覧ください。


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(宝蔵寺住職・小笠原正)
光明山 宝蔵寺 〒505-0422 岐阜県加茂郡八百津町久田見4297
[2019/08/19 投稿]