「栗金が八百津発祥の地」説に挑む01

1.発祥の地は中津川・恵那か、八百津か?
難しい質問をぶつけるいい奴

栗金は栗金飩を指す。
気の短い川筋気質の荒い言葉使いの八百津黒瀬では栗金飩を栗金と略すのが一般的であった。ここでは愛着をもって栗金と呼ぶ。
全国的にはおせちに入る栗きんとんが有名であるが、東濃地方を中心に栗の産地であったことで古くから家庭、地域で食された栗蒸し菓子である。
この栗蒸し菓子が和菓子として出来上がるのは明治20年代はじめである。八百津では老舗の和菓子屋さんが販売を開始し、発祥であると確信しているが、すぐに後発もできたものと推察する。15歳で八百津を離れて45年ぶりに帰郷すると栗金ファンは全国規模となっていた。その間、確かに全国のデパートの特産品販売会場でも中津川・恵那の栗金を見かけたし、女性向け雑誌で八百津の栗金が特集され、栗金の全国的認知度は上がった。
敬意を表したい。

帰郷して暫くしたころ、1軒の和菓子屋さんの同級生の仲良しご主人から「僕は栗金に自信を持ち、伝統と技で八百津和菓子屋各店と切磋琢磨して基本的に地元産の栗に拘り、安価で提供している。
しかし大量販売で規模を拡大している中津川・恵那は行政を含めて発祥の地をアピールしている。残念だが八百津は発祥の地を上手く説明ができないでいる。
八百津が発祥と思うが、歴史的な理由を考えてくれんかね~、お客様に正しく説明できるようにしてほしい~」と酒を酌み交わしてのほんの戯言ではあったが、八百津に再び住む者として、いつかは栗金の八百津発祥説を歴史的合理性の上で解明したいと思うようになった。
「よし、やってみよう」と言ったものの、意外に難しい。
後悔しながら仮説を組み立てる羽目になった。

[2020/08/16 投稿]