あおやぎ青年隊の酒米づくり

久田見 『あおやぎ青年隊』

『あおやぎ青年隊』 はもともと約20年前、地元のためになにかしようと集まった地元有志で結成されました。
(「あおやぎの里」は、古くからの久田見の美称だそうです。)
30代~40代の比較的若い世代20人程度のメンバーで、地元の草刈りや夏祭りの開催などを中心に活動をしてきました。

休耕田を復活させたい

どこの山里も同じ問題を抱えていますが、八百津町久田見でも「休耕田」が増えてきています。今地元のためにやるべきことはこれじゃないか?ということで、あおやぎ青年隊メンバーの中で手が空いている人が田んぼの手入れ(草刈り、水の管理、田んぼの中の草引き)をする共同作業で、休耕田を復活させる活動を始めることにしました。
地元の酒蔵「 花盛酒造株式会社 」さんにもアドバイスをもらい、地酒の素材となる酒米をつくることに決めたのですが、そこからトントン拍子で美味しい酒米が収穫できてしまい、なんとこの冬、久田見のたんぼ休耕田だった田んぼから地酒『久田見』が生まれ、少量ではありますが販売して、皆様へお届けすることができました。

ラベルに入っている銘柄「久田見」の文字は、「ひさびさに田んぼを見た。」という久田見の地名の由来になった言葉と(徒歩で息を切らしながら山を登ってきた旅人が、久々に田んぼが開けたのを見て漏らした言葉)と、休耕田がよみがえった光景を掛けた言葉です。

兼業農家の家庭で育って、田んぼの経験がある久田見の井戸正秀さんが活動の先頭をきっています。

若い世代で田んぼづくりを経験 しよう

もともと兼業農家の家で育ってきた久田見の井戸正秀さんには、田んぼをする技術の土台は身についていました。しかし、田舎とは言っても地元の同年代が田植えを経験したことがある人人間は1割程度。
田んぼ技術が継承されていないという現実を目の当たりにしていました。

このままでは、地元の休耕田畑は増えていくばかり。
若い世代に田んぼづくりを経験してもらうということだけでも、この活動には意味があると考え、自ら先頭に立って酒米づくりをしていくことに決めました。

花盛酒造の可児さんには、育てる酒米の銘柄として 「吟のさと」の種籾を選ぶことを提案 していただいていましたが、「吟のさと」は 九州で開発された品種 で、寒冷地には適していないとされてるものです。
久田見は極寒の地ではないとはいっても、平地と比べると寒い気候ではあります。栽培しやすく、吟醸酒の麹米に向いているとはいえ、この土地で上手く育てられるのか?という不安の中での作業開始です。

まずは「若い世代が米作りの経験をする」という目的が達成できれば第一段階として成功と考えていて、 最初はお酒が完成する段階まで到達できるまでは何年かかかるものだと思っていました。

久田見にも酒蔵があった時代がありました。

酒米を作りをおそるおそる始めてみていると、80代~90代の先輩の方々から「昔は久田見にも酒蔵はあった。戦後の頃にはもうなくなってしまっていたが…。 」 という話を聞く機会がありました。
久田見で酒を造っていた時代があったということが、久田見で旨い酒米が作れる環境であるという証明のようで、これはきっと良いものができるぞ!と少しづつ期待がふくらんできました。

そうして、収穫ができた米のもみすりをし、玄米にするところまでの作業をし、「花盛酒造株式会社」へ持ち込むと、「 たいへん良いお米ですね 。お酒、造りましょう。」となり、トントン拍子で「純米清酒 久田見」のしこみがはじまってしまいました。

地酒「久田見」誕生

水源は 木曽川支流 の旅足川。水が良く、風土もよい。
田んぼづくりが盛んで美味しい米が作れる土地、久田見で、種から育て、田植えをし、玄米までを久田見の土地で、久田見の人間で完結させた酒です。
 花盛酒造株式会社さんのお力を借り、袋吊り自然垂れで搾った「しずく取り」の商品は限定で商品化させていただきました。
すっきりとした飲みやすい口当たりで、お食事中のお酒として特におすすめです。

一年目は、1合瓶300本程度と、そんなにたくさんの量は作れませんでしたが、まさかお酒の完成までたどりつけるという期待をしていなかったので、大変大きな成果を得たと考えています。今後生産量を増やし、地元特産品として持続・継続した生産を続けていくためには、まだまだ課題は多いですが、問題点をクリアしながら一歩づつ前進していきたいと思います。

  • 花盛酒造(株)
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[2019/08/16 投稿]