お茶の機能性飲料としての効果への期待
近年、緑茶に含まれる薬効成分についての研究が進み、これまでの嗜好品として楽しまれてきたお茶は、機能性飲料としての効果への期待も高まりつつあります。
この中でも気になるのが、お茶に最も多く含まれているタンニン(※カテキン)の「抗菌・抗ウイルス作用」。
これらのお茶の旨味・栄養成分を効果的に引き出すには、お湯の温度が重要なポイントとなります。
お茶に含まれる成分
お茶にはいろいろな化学成分が含まれています。
その中の主なものを抜粋しました。
- タンニン(※カテキン)
- カフェイン
- カリウム
- ビタミンC
- テアニン
お茶の味は、タンニン※カテキン(渋み)、カフェイン(苦み)、テアニン(旨み)の3 つの成分で決まります。つまり、この3 つの成分をどの様に茶葉から抽出させるかによって、お茶の味は美味しくなったり、そうでなかったり変化します。
その他、それぞれの成分の抽出具合とお湯の温度には密接な関係があります。
低温での抽出でカフェイン減少
お茶に含まれるカフェイン(苦味成分)は、お湯の温度が高いと溶けやすい性質があり、60℃以上でグンッと溶けだします。逆に水出しで抽出するとカフェインが抑えられ、また苦味・渋味も抑えることができます。
10℃の冷水の場合は約半分、0.5℃の水では実に80%近くもの減少率となるという実験結果も出ています。
カフェインは覚醒作用をはじめさまざまな効果があることで知られている一方、飲む人やシチュエーションによってはそれらの効果がデメリットに働くと考えられることもあります。そのため、カフェインを控えたいという人は緑茶を低温で入れることによって、カフェインの摂取を抑えることが可能に。
また、ビタミンCは、水溶性なので水に溶けやすいですが、熱に弱い性質があります。緑茶に含まれるビタミンCは、カテキンがビタミンCを安定に保ってくれるので比較的壊れにくいですが、水出しすることで熱にさらされることなく抽出することができます。
エピガロカテキンガレートと、エピガロカテキン
カテキンは、ポリフェノールの一種で、昔からタンニンと呼ばれてきた緑茶の渋みの主成分です。カテキンの語源は、インド産のアカシア・カテキュー(マメ科アカシア属の低木)の樹液から採れる“カテキュー”に由来しています。 お茶のカテキンは、1929年、理化学研究所の辻村博士らによって初めて存在が確認されました。茶葉中に形の違う4種類のカテキンが存在しています。
- エピカテキン
- エピガロカテキン(EGC)
- エピカテキンガレート
- エピガロカテキンガレート(EGCG)
お茶は理想的な機能性食品として、抗がん、抗肥満、抗酸化、抗アレルギー、ストレス緩和、抗菌、脳卒中予防、血圧上昇抑制、動脈硬化予防、等といった様々な健康効果が期待されていますが、
インフルエンザなどのウイルスに対しても、以下のような効果があるとされています。
- 緑茶に含まれる成分の効果エピガロカテキンガレート(EGCG)やストリクチニン
- ウイルスに作用し、緑茶の飲用、緑茶でのうがいはインフルエンザ予防などに役立つ。
- 緑茶に含まれる成分の効果エピガロカテキン(EGC)
- 粘膜免疫系の働きを良くし、病原体の侵入を防ぐ効果がある。
ここでも注意したいのが、抽出温度の違いによっての働きの変化についてです。
エピガロカテキン(EGC)の働きは、エピガロカテキンガレート(EGCG)によって弱められてしまうということが起こります。
- お湯で緑茶を淹れるとEGCGが浸出しやすくなるため、EGCの効果が弱まってしまいます。
- 冷水で緑茶を淹れる(水出し緑茶)と、浸出液中のEGCGが少なくなり、EGCの効果が発揮されやすくなります。
エピガロカテキンガレート、エピガロカテキンどちらもウイルス感染予防に役立つ茶カテキンですが、それぞれの効能を得るには、別々の淹れ方をして飲むことが良さそうです。
【参照】
「知らなきゃソンするお茶のこと 10のひみつ お茶の効用を科学する(最新版)」
出版:2012年公益社団法人 静岡県茶業会議所