あまいアンをお腹いっぱい食べたものの、家に帰った「よね」はだんだん不安になってきました。こんなことをして、ほとけさまのバツが当たったらどうしよう。「よね」は心配で心配で、おふとんにもぐりこんでしまいました。
ばんごはんにも「よね」が起きてこないので、お母さんは心配になりました。「よね、どうしたの?」とお母さん。「お腹がいたい」と「よね」はウソをつきました。本当はお腹がいっぱいで、ばんごはんが入らないのでした。
お母さんは心配してオカユをつくり、「よね」のまくらもとに置きました。ところが「よね」がそれも食べないので、今度は煮つめたセンブリを持ってきました。「これを飲みなさい」セン……more >>
その日、徳行寺の和尚さまは外で用事があるらしく、昼前にお寺を出ていきました。「よね」はふと思いついた方法をどうしてもやってみたくなり、とうとうほとけさまのまんじゅうに手をのばしてしまいました。
お寺の階段に座り、饅頭に人差し指をつっこんで、中身のアンだけを上手にすくって食べてしまいました。背中の弟にもすくったアンを指で食べさせました。
すっかりアンを食べてしまうと、外側の白いところをそのまま残して、もとどおりの場所に戻しました。日も暮れかけたので、家に帰りました。
引用:福地いろどりむら通信 16号掲載
構成・挿絵:北野玲/参考文献「宝蔵寺の昔話・房姫様物語」(山田貞一……more >>
「よね」という名前の娘がいました。寛延元年(1748年)、奈良県柏村の貧しい家に生まれました。男3人、女4人の兄弟を持つ次女でした。
「貧乏人の子だくさん」と言われているとおり、生活は大変で、年上の子供たちは、家の手伝いや子守など、一生懸命に働きました。「よね」も12歳となり、弟たちの子守が毎日の仕事でした。
ある日、「よね」は幼い弟を背負い、近くにある徳行寺の境内で、子守をしていました。ふとほとけさまの祭壇を見ると、それはそれは大きな饅頭が、日と重ねしてお供えしてあります。
「よね」はそのまんじゅうが食べたくて食べたくて、つばを飲みながらあれこれ試案しました。なんとかう……more >>